Spiritual voice's Box 07

 天空まで積み重ねられた瓦礫の上に立つ、一人の男の姿があった。
 辺りは、紅蓮の焔に包まれ、鼻をつく異臭と黒煙が取り巻いていた。
 華やかなネオンのイルミネーションもなく、人々が騒めく声一つない。
 全てが、瞬時に破壊された。
 偉大なる人事による文明たちが、自然、或いは神の逆鱗に、あたかも、触れてしまったかのように。
 黒いコートの男は、恍惚の眼差しで、さらなる上空を睨んだ。

 人は、何処へ逝くの?

 何故、君は生を受けたの?

 それって、君の望んだものなの?

 時空の流れの前には誰も、何もかも、なんて無力。

 何処からともなく、胸に、去来し木霊する咆哮。

 生暖かい一陣の風が左の頬から右の頬を過ぎて行く。何かの慰めのように。
 心と身体の切れ間を無常に吹き荒んできたこの風が、今は何故に愛しいのか。
 夜が冷たく嘲り、萎えたこの身・・・

 我は、孤高へと向かう旅人なり。

 我は、自然に身を委ねた月と暗黒の使徒なり。

 我は、現世界を、この瞳に、この魂に焼き付け、後世に伝える導士なり。

 ・・・黒を纏う男の詠唱が低く響く。

 その後、廃墟に、氷の雨が、叩きつけた。
 日照りが続き、水不足が訴えられたこの大地に、無常にも・・・
 そして灼熱の太陽が、ここに凍てついた。

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