回廊は、緩やかな左上がりのスロープを、描いていた。
やけに、長く薄暗い。
唯一、丸く小さく刳り貫かれた小窓から、射す微光、それだけが頼りだった。

もう、どれ程、歩いたのだろうか。
・・・次第に、麻痺された聴覚に訴えかける、反響音のアベェ・マリア・・・

そして、無意識の内に歩みを進めていた回廊は、冷たく震える大きな鉄の扉の前で、終点を迎えた。
扉は、軋みを上げながら、外側に開かれた。
それと同時に広間からの光が、闇を閉ざし一瞬のうちに支配していく。
辿り着いた荘厳な広間は、無数のキャンドルに照らし映しだされていた。
遥か前方にはこの光の源である鮮やかなステンドグラス、そこに、偉大に描かれたキリストが浮かぶ。
そして、唯、優しく慈愛で、全てを包み込んでゆく聖母マリアの像。

この礼拝堂で、祈りを捧げる少年。
小さく震える肩、小さな両手で、握り締められた拳瞳から、こぼれ落ちた一条の涙。

・・・既視感・・・DEJA VU・・・どこかで見た記憶への搜索・・・

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