流れちゃった日々 03

 玉が落ちていく。
 銀色の衣をまとい、台に空しい暗さだけを残し、玉が落ちていく。

 昨日まで全てを可能にするようにふくらんでいた札入れが、速やかに火の車となった、今日。

 ギラついた照明と、息がつまる空調、それ以外の全てを感覚から追い出してしまうと、そこには、異常な空間が広がっていた。
 地道な努力も無い、
 懸命な創意工夫も無い、
 労働による汗も無い、
 昔からここにある風景。

 自分がいなくとも、
 人がいなくとも、
 勝つ客がいなくてさえ、
 ここにある風景。

 知らぬ間に、玉は台の穴の影にその姿を隠している。
 隣の客の浮かれた明るさだけが、その行く先を暗示している。

 夕闇に、寂しく雲が浮かぶ、東の空に、眠っていた星が瞬き始める。

 ここにある風景。
 ここにないお・か・ね。

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